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かれんの闘病 1
病気の発見

 

2004年11月13日、長女かれんは誕生しました。わたしたちのひとり娘です。


乳児から幼年にかけて病気はまったくしませんでした。

風邪などもひかない子でした。

性格はひとなつっこく、好奇心いっぱいな子どもでした。

 

悪性なら余命一年・・と医師は言った。

 

しかし、その病気は突然やってきました。
 

ある日、児童館で遊んでいて、壁に頭をぶつけて大泣きし、嘔吐などもあり、念のため地元の病院でレントゲンを撮りました。
 

すると頭蓋骨が脳の表面を圧迫している、「指圧痕」がみとめられました。

骨の成長に難点があるかもしれないということで、医師のすすめで、県立のこども病院を受診、MRIを撮ったところ、当初の疾患とは別に脳幹の内部に腫瘍があることが分かりました。

 

医師からは「脳幹部グリオーマかもしれない。悪性腫瘍なら余命一年、治療は放射線しかない」と言われました。
 

至って元気な娘の様子と話の釣り合いがとれず、呆然としました。

 

セカンドオピニオンへ。

 

すぐにネットで小児脳腫瘍に詳しい医師を調べ、セカンドオピニオンとして、大学病院を受診、そこでの医師の意見は・・・
 

「現在のご様子は元気なので、しばらく経過観察してみましょう。悪性腫瘍とは限らないかもしれない」というものでした。

 

その後、かれんは幼稚園に入園、彼女の人生にとってかけがえのない友達との楽しい一年間を過ごすことになります。

すぐに放射線治療をしていたら、この一年間はなかったかもしれません。

 

病気が発症

 

しかし、病気は甘くありませんでした。
 

年少から年中に進級するころ、病気が発症、歩きがおぼつかなくなり、頭痛と吐き気で倒れました。
 

一年ぶりに病院を訪れ、すぐに入院、診断の結果、腫瘍の増大がみられ、脳内を流れる脳骨髄液の通り道が塞がれて脳を圧迫する「水頭症」を併発していました。

医師から今後の治療方針が語られました。
 

「まず水頭症の手術をして頭に溜まった水を抜きます。その後は腫瘍の治療に入りますが、一年間症状が出なかったということは、非典型的な脳幹部グリオーマの可能性も否定できません。幼児への放射線照射は、知能の低下等のリスクを伴います。まず化学療法を試してみたいと思います・・・」

 

みなさんは、なぜ手術しないのか疑問に思われたかもしれません。

通常、脳腫瘍の治療は外科手術で腫瘍を取り除きます。しかし、小児脳幹部グリオーマは、生命活動にとって重要な神経が数多く通っている脳幹内部にできる腫瘍の上に、のりのようにベトベトにくっついている腫瘍なので切除は不可能なのです。
 

よって典型的といわれる小児脳幹部グリオーマの標準治療は放射線しかありません。化学療法・・・すなわち抗がん剤が効くことは世界的に否定されていますが、非典型な可能性を考えての主治医の提案です。
 

可能性・・・というのは、この病気の診断はMRI画像によるもので、通常のがんのように、一部のサンプルを手術で切除して、それを病理検査した上での診断は、上記の理由から一般的には行われないからです。ようするに別の病気の「可能性」もあるのです。


 

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