小児脳幹部グリオーマの Q & A
「グリオーマ」というのは何ですか?
「グリオーマ」の「グリ」とは、「グリア細胞」のことです。これは、神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)といって、神経細胞の働きを助ける役割の細胞のことです。「オーマ」とは腫瘍ということです。ようするに、神経膠細胞にできた腫瘍という意味で「グリオーマ」と呼ばれています。
Q1
この病気の原因は何ですか?
「小児脳幹部グリオーマ」の発生原因は、今のところ分かっていません。
子どもの成長過程で、何らかの原因で、遺伝子の突然変異が起こり、本来の免疫機能に支障が発生、がん細胞の増殖を許してしまう・・・という仮説は可能ですが、それが何の原因によるものかということは、まだ判明していません。
Q2
Q3
すべての脳腫瘍が治療できないのですか?
そういうことではありません。小児脳腫瘍の腫瘍組織の種類は非常に多様であり、細かく分類すれば100種類にもなるとされています。代表的な腫瘍組織は、「星細胞系腫瘍」「髄芽腫」「胚腫」「頭蓋咽頭種」「上衣腫」「膠芽腫」などですが、小児脳幹部グリオーマは「星細胞系腫瘍」に属します。
「星細胞系腫瘍」をはじめ、これらがすべてが治療できないかというと、そういうことではありません。
まず、治療の基本は摘出手術ですが、摘出し易い腫瘍とそうでないもの、抗がん剤が効くもの効かないものによっても治癒率は違います。また、発生部位によっても違ってきます。しかし、平均すると昨今では、医療技術の向上により6割程度は治癒する(5年以上生存)といわれています。それらに対して小児脳幹部グリオーマは100%近い致死率のままなのです。
Q4
手術可能な脳幹部グリオーマがあるとききましたが?
脳幹部にできる腫瘍も、その表面に発生しているものでしたら摘出は可能です。
これは「限局性の脳幹部グリオーマ」と呼ばれ、おできのようなカタマリになっているので手術が可能なのです。(画像参照)
このサイトで扱っている「小児脳幹部グリオーマ」とは、
脳幹の橋の内部にのり状にベタベタになって神経を巻き込み
発生する瀰漫性(びまんせい)のグリオーマです。
別名「瀰漫性内在性橋グリオーマ」と呼ばれています。
この場合、生命活動にとって重要な神経を傷つけずに摘出
することは、不可能とされています。
Q5
小児脳幹部グリオーマの「小児」とは?
この病気・・「脳幹部グリオーマ」は成人にも発生しますが、成人と小児とでは、腫瘍組織が違っていて、成人の場合は抗がん剤が効く場合もあります。一方、「小児脳幹部グリオーマ」は世界での臨床試験の結果、現存するあらゆる抗がん剤での効果は否定されています。
よって、成人の脳幹部グリオーマと小児のそれとは違う病気といえます。
研究はされていますか?
現在、世界の研究者が、この病気の原因と治療法を調べています。この病気の研究のネックとなるものは、通常のがんは治療開始時、腫瘍組織の検査が行われ、その結果によって治療法が選択されますが、この病気の場合、脳幹内部への手術のリスクの高さを避けるため、いわゆる病理検査が一般的に行われてきませんでした。研究サンプルが無いため、腫瘍の組織研究が進んできませんでしたが、昨今の検査外科技術の向上と、少ないサンプルから多くの情報を読み取る遺伝子レベルの解析が容易に可能となったことなどから、研究は急ピッチで進められています。
最新の研究では、特定の文書の遺伝子に変異が起こっていることなどが突き止められ、その変異した分子を標的とした薬剤「分子標的薬」などの開発が進んでいます。
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