かれんの闘病 2
化学治療と再燃
化学療法の効果。
主治医の説明に納得し、かれんは、化学療法に入りました。脱毛、吐き気等の副作用はありましたが、それほどひどくないのが救いでした。
治療は功を奏し、かれんはみるみる回復していきました。リハビリも頑張り、歩行できるまでになりました。
これは主治医も予想しなかった成果でした。わたしたちもこれで完治するはずだと信じて疑いませんでした。
退院後、家族で旅行に行ったりしました。
ホテルのプールで浮き輪を使って泳いだりもできるようになっていました。
まだ、顔のわずかな麻痺などは残っていましたが、かなりの元気を取り戻していたと思います。
しかし、残念ながら、幼稚園には、1、2回だけ登園しただけで、病気が再発してしまいました。
再発。そしてカウントダウンが始まる。
再び入院、診断の結果、腫瘍の増大がみとめられ、「典型的な小児脳幹部グリオーマ」との最終的な結論が出されました。
そして、放射線治療についての主治医の説明は、わたしたちを愕然とさせるものでした。
「放射線治療は高い確率で効きます。症状は治まり回復するでしょう。しかし、半年から一年で再び腫瘍が再燃し、その際、悪性度が増しています。その後には確立した治療法はありません・・・」
・・・要するに、かれんは助からないということなのです。
半年から一年後にどうなっているのか・・・願わくば非典型的なケースであって欲しい・・・そういう願いとともに、かれんの放射線治療は始まりました。
かれんは頑張りました。再び幼稚園に戻れることを夢見て・・・。
通常、幼児ですと、照射中に頭が動かないように眠らせて治療を行うのですが、かれんは途中から眠らないで治療を頑張りました。
その甲斐あってか30回の放射線治療終了時には、かなりの回復がみられました。
このように、化学療法でも今回でも、治療への反応がきわめて良いのが、この子の特徴だったとも言えます。
それだけに、別の病気の可能性を親も医師も捨てきれませんでした。そこに希望を託していました。
画像では、まだ腫瘍は残存し、消滅には至りませんでしたが、身体的な回復は医師の言葉通り戻ってきました。
この貴重な時間を無駄にするわけにはいきませんが、主治医から在宅での抗がん剤の服用による維持療法を提案されました。
親として、この選択が一番の後悔として残ります。抗がん剤の嘔吐の副作用が激しく、かれんはやせ細ってしまいました。
しかし、親としてはすがる思いで抗がん剤を飲ませ続けました。嘔吐のため著しくQOL(生活の質)を損ない、せっかくの回復がブラス、マイナスゼロになってしまいました。
しかし、それでも患者会のキャンプに参加したりしました。今でも立ち昇る炎を見つめる娘の横顔が脳裏に焼きついて離れません。
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